中井侍
愛してやまない斜面集落・中井侍。

↑2008年4月5日の中井侍。 ↓2008年4月12日の中井侍。桜の花の移ろいが良く分かる二枚です。

天龍村の斜面集落の雄でもある中井侍。
集落の下にはJR飯田線の中井侍駅。さらに下には天竜川が。

初めて中井侍を見たのが、今から5年ほど前。
温泉巡りと称しては方々にドライブをし、愛知県は旧富山村の湯の島温泉に行く途中、目の中に入ってきた不思議な形態の集落。
それが中井侍(なかいさむらい)と知る由もなく、以降、二度ほど対岸からじっと眺める。


向こうに行きたい!


宿があるわけでもなく、店もない。
ここでは日本円は何の用も足さない。

ただ、人が住み、急斜面に茶を栽培している。

何も変わっていないから、また足を運びたくなる、そんな天竜川を見下ろす斜面集落・中井侍。


天竜川から登る朝霧で、大変に良質な茶が栽培できるとのことです。

もはや平らな土地は家の敷地のみ。
一方は窓のある面も、反対側を見ると、屋根瓦の先は茶畑と同じ面。
人の住むところに、信仰の場所あり。

斜面集落を巡ると、集落の最上部に信仰の場所があります。

神を仏を踏みつけない人間の畏怖の念から来る配置でしょう。

(※注 下栗の里も、もともとは最上部に神社があったのですが
集落が上方に拡大すると共に、結果的に村の真ん中に位置する
特別な事例もあります)



中井侍にも存在します。
大きな岩の切り込みに石仏が配置され、
宝暦七年の文字が読み取れます。
それは死者を弔う何かかもしれませんが、
大きな岩に配置する様を見ると、
子宮に宿る新しい命のようです。


その巨岩の上部には神社もあります。

素朴な造りの神社に、今も息づく信仰の形を見ました。

信仰の場所は、花に水を遣るように、途絶えない信仰があって
はじめて精気が漂うものです。

それが野に咲く小さな花であっても、祈りの対象として
今もなお人が訪ねている事実が大切なのでしょう。
コチラで紹介した地図は⇒map