本を求めて秘境まで
天龍村史を村で読む
2008年8/9
南信州の遠江に近い、最も南部な信濃には、山の急斜面で生活している人の姿を
今でも見ることができます。
温泉巡りと称して愛知県旧・富山村に何気なく訪れたのが5年ほど前。
そのとき目に飛び込んできた中井侍の集落は、当時、知識を総動員しても説明できないものを見たような衝撃でした。
土産物屋もなければ宿もない。
一介の旅人が日本円を行使するというのなら、
何時間に一本の飯田線に中井侍駅から飛び乗ると決意したとき、それ以外に日本円は全く持って意味がない。

そんな天龍村最大といっても良い斜面集落の中井侍に魅せられて、もう何度となく足を運ぶ。
写真を撮るなら、この場所とか、そういう知識は身につけても、
この不思議な集落の成り立ちに関する情報が僕にとってほとんどないのも事実でした。

もはや頼るものもないと判断したとき、天龍村史の購入を決断したのですが、
本屋にもネットにも売り出されていない。

どうやら直接行って買い求めるしか方法がないようだ。

天龍村最大の集落・平岡地区に村の総合文化施設があり、その中に小さな図書館も併設されています。
図書館で本を買うというのも、実に奇妙な行動ですが、
小さな村では、皆兼業。

天龍村史上下巻10.000円也。


どこで本を読むのかというのも問題。
買った本を図書館で読むというのも変だし、そもそもその本を手続きなく持ち帰る姿は無用な誤解も生じかねない。

気になる喫茶店があり、そこまで車を走らせましたが、どうも別の店になる工事(ライダーハウスが無くなってしまう瞬間でした)

結局、天竜川を見下ろすベンチで、心地良い風を受けながら読書する。

天竜川というより、佐久間ダム湖北端って言った方が正確かも。

湖面すれすれに飯田線の鉄橋が。
この辺りはトンネルと鉄橋の繰り返し。
紅葉のころは、それはもう見事だそうです。


ガソリンが暴騰しても、他を倹約して足繁く通う。
何故でしょうね、全く。

この地に親戚も先祖の墓も、ましてや生まれ育った場所でもなく、
待つ人さえ居ないのに。
それでも、向かってしまう自分。

昼ごはんは、南信濃・和田集落で山肉料理を。


さて、分厚い二冊の天龍村史。
村の岩石から草木や動物、それから歴史やお祭り、農耕の知恵など
もう面白すぎる内容。中井侍の成り立ちの話題が出てくるかは、
まだ分かりませんが、とにかく往時の知恵を知るということは面白い。

天龍村には、お手軽な宿泊施設もあり、一度、【地方都市で過ごす週末】の
村バージョンを楽しみたいと思っています。

さて、帰り道、愛知県豊田市は足助町の静かな山間で夕暮れを迎える。
ヒグラシの音を録音しました⇒

ただ、現れる画像は中井侍です。